丸の内ミライカレッジ イベントレポート

越境コミュニティが拓く、都市の新たな学習エコシステム

2026年3月17日(火)に、エコッツェリア協会と一般社団法人Work Design Labの共催により、丸の内ミライカレッジ~学校の外で出会う、もうひとつの学び場「越境コミュニティ」が学生・社会人・組織にもたらす可能性を考える~を開催いたしました。

本イベントは、学校・会社・地域といった「縦割り」の枠を超え、フラットに交わる「越境コミュニティ」をテーマに、学生・若手社会人・実践者が一堂に会し、それぞれの経験や視点を共有するイベントです。
第1部に学生・若手社会人によるショートピッチ、第2部に大学・企業・まちづくりの実践者によるパネルディスカッションを実施。越境のリアルな経験や、場づくりの工夫について多角的な視点から議論が行われました。
当日の参加者は、半数が学生・20代である一方、50代・60代や経営層も参加し、世代や立場を越えた多様な参加者が集まりました。

このイベントを通じて見えてきたのは、越境とは一握りの人だけのものではなく、出会いと葛藤、支え合いと還元の繰り返しの中で誰もが歩める学びのプロセスだということです。

【第1部】登壇者が語った「光」と「影」

第1部登壇者

  • 浅川 雄介|大手旅行会社・社会人3年目
  • 畔高 咲良|大手小売業・社会人2年目
  • 栗原 颯大|成蹊大学4年
  • 横井 叶葉|慶應義塾大学3年

信州大学での地域プロジェクト、HLAB OBUSEの運営、気仙沼でのボランティア活動、地方高校の閉塞感からNPO立ち上げと他県への移住——それぞれの越境のきっかけは異なりますが、全員が共通して「多様な大人との出会い」を最大の収穫として挙げていました。働き方やキャリアの選択肢が広がったこと、東京と地方をつなぐパイプラインになれたこと、自分の人生に影響を与える大人の存在に出会えたこと。報酬や評価ではなく、そうした内発的な動機が、彼らを動かし続けています。

一方で、成功談だけでなく「影」の部分も率直に語られたことが、この場の大きな特徴でした。全てに手を出しすぎてキャパシティがわからなくなり体調を崩した経験、学業成績への影響や「就活のガクチカのため?」という周囲の目、交通費や生活費を自分で賄う学生にとって「自由に動き回ること」自体が特権化してしまうという懸念、そして入社後に求められる「一点集中」の環境と越境的な働き方の理想とのギャップ。こうしたリアルな声が共有されたからこそ、参加者にとって「自分のこと」として受け取れる場になったのだと思います。

 

【第2部】場を作るための、現場の実践知

第2部登壇者

  • 長岡 健|法政大学 経営学部 経営学科 教授
  • 吉越 輝信|富士通株式会社
  • 神田 主税|3×3 Lab Future館長
  • 田邊 智哉子|3×3 Lab Future ネットワークコーディネーター

街中のカフェゼミで「ためらいがちな普通の学生」に越境の入口をデザインしてきた長岡氏、鯖江市での道場設立や沖縄のIT支援を経て大企業変革に挑む吉越氏、宮崎県小林市での原体験をもとに共感経済に基づくプラットフォームを丸の内で形成してきた神田氏、小布施での書生経験からビジネスマッチングではない「柔らかい繋がり」を牽引してきた田邊氏。それぞれの立場から、越境の場を組織や空間に実装するための戦略が語られました。

「専門家向けにせず、テーマの話は半分だけ。残りは楽しい話にして、小さく始める」「巨艦を変えようとするのではなく、同じ北極星を目指せるギバーなマインドを持つコアメンバーを厳選する」「非金銭的な価値や長期的な効果を、上層部へ根気強く伝え、組織の栄枯盛衰を乗りこなす」「当事者になってくれるキーパーソンからの紹介を中心に、自然で柔らかい繋がりを広げていく」——どれも、現場で試行錯誤を重ねてきた人たちだからこそ語れる言葉でした。

また、登壇した若者たちは既に「プロジェクトレベル」で活動できる優秀な人材ですが、最初からそこを目指すと普通の学生はバーンアウトしてしまうという指摘も印象的でした。まずは見知らぬロールモデルを見つけ、場に「慣れる」コミュニティレベルから始め、10年かけて成長していくという長期的な視点が、場の設計において極めて重要だということです。

 

越境は、サイクルとして続いていく

イベントを通じて見えてきたのは、越境とは一過性の取り組みではなく、「場を作る・飛び込む・壁と向き合う・還元する」というサイクルが連鎖していくものだということです。そのサイクルを支えるのが、自分の利益よりもコミュニティ全体への貢献を優先する「ギバー」のマインドです。今日の参加者が、いつか次の誰かのために場を作る側に回っていく——そんな循環が、少しずつ丸の内から広がっています。

参加者からは「メリットだけでなく、デメリットや社会とのギャップについても議題に挙げていただいたことで、越境への過度な不安がなくなった」「大人はお金になることばかりしているイメージがあったが、地域活性化や子供の未来というワードが何度も登場し、社会に対するイメージが変わった」といった声が寄せられました。

Work Design Labは、複業人材や越境人材が地域・企業・教育機関をつなぎ、新しい学びと実践の場を生み出すことを大切にしています。今後も丸の内ミライカレッジは、学生との継続的なリレーションを築き、東京とローカルをつなぐ活動を展開していきます。「やりたい」と口に出すことから、次の繋がりが生まれる。まずは、身近なコミュニティの扉を叩いてみませんか。

 

イベントの開催概要はこちらからご覧いただけます
3/17(火)開催:丸の内ミライカレッジ ~学校の外で出会う、もうひとつの学び場「越境コミュニティ」が学生・社会人・組織にもたらす可能性を考える~【オンライン開催】

レポート:Work Design Labパートナー角谷恵