【イベントレポート】第4回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション

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【イベントレポート】第4回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション

ゲスト:浅野和之氏(㈱リクルートキャリア執行役員コーポレート戦略統括部長)/高田佳岳氏(一般社団法人LIGHT UP NIPPON 代表)  も濃い時間となりました。

2014年3月17日に第4回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションを日本橋三井タワー11F harappaニホンバシ にて開催しました。

「未来の働き方はどうなっているのだろうか?」

「人と組織の関係性は、どう変化しているのだろうか?」

毎回、新しい働き方を推進・実践する「企業」と「個人」からゲストスピーカーを各1名お越しいただき、未来の「働き方」を双方の視点から考える本セッション、前回までの開催に引き続き、2度の定員増を経て、今回も約130名の方にご参加いただきました。ダイアローグでは、参加者同士の活発な意見交換や、全体への発信が続き、最後までとても濃い時間となりました。

(ダイアローグセッションの様子)

登壇者紹介

<企業側ゲストスピーカー>
浅野 和之(あさの かずゆき)氏:
株式会社リクルートキャリア 執行役員 コーポレート戦略統括部長


[プロフィール]
1993年リクルート人材センター入社。主に中途採用部門の要職を歴任。営業、企画としてMVP等受賞多数。その後リクルートエージェントにて新規事業部門長、執行役員人事部長など経て2012年より現職。リクルートグループは2012年に事業会社を再編。リクルートキャリアは、旧リクルートHRカンパニーと旧リクルートエージェントが統合し発足。現在は「人は仕事の場を通じて成長する、人の可能性を信じる」というコンセプトのもと、様々な人事制度や運用を実施し、起業家を多く輩出するリクルートの企業文化を構築している。
・株式会社リクルートキャリア: https://www.recruitcareer.co.jp/

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<個人側ゲストスピーカー>
高田 佳岳(たかだ よしたけ)氏:
一般社団法人LIGHT UP NIPPON 代表
全国のたべごろの食材があつまるメニューのないご飯屋さん「月々」 店主


[プロフィール]
1977生まれ 東京水産大学、東京大学大学院海洋研究所卒業。在学中、岩手県大槌町の研究センターに所属。スキューバダイビングのインストラクターを経て2005年博報堂入社。東日本大震災を受け、2011年に「東北を、日本を、花火で元気に」をスローガンに、東北被災地10ヶ所において、地震で亡くなった方々の鎮魂のために一斉に花火を打ち上げるLIGHT UP NIPPONを立ち上げ、6千万円以上の寄付金・協賛金を集める。2013年に博報堂を退社。東北の旬の海産物を提供する飲食店「月々」を東京赤坂に開業し店主となる。LIGHT UP NIPPONの取組は現在、映画化、書籍化されている。
・LIGHT UP NIPPON: http://lightupnippon.jp/
・月々: http://tsukiduki.jp/

人事の視点はあくまで外。社会の中での自分たちの存在を考える。(浅野氏)

1人目は企業側ゲストスピーカーの浅野和之さん。所属する組織、リクルートキャリアのビジョンは「ひとりでも多くの人たちが『働く喜び』を膨らませ、『働く喜び』の輪が、新たな活力を生み出している社会を創りたい」を掲げている。組織のビジョン・ミッションを実現していくために、大切にしていることや、人事制度についてお話いただいた。
(リクルートキャリアのビジョン・ミッション)

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ビジョン・ミッションを実現していくために人事をどう考えるのか。それをご紹介する上で我々が大切にしている5つのことをまずお話します。

1つ目は、社内ではなく、社会で通用するスキルとかスタンスを身に着けているかどうか。特に人事は組織の内側に意識が向かいがちなんですが、起点とか基準の視点は、あくまで「外」なんだと。事業の起点も当然ながら外に置き、社会に向かって何が出来るかを考えるようにしています。この考えは、社会の中で自分の存在を考えるという意味合いで、一番上においています。

2つ目は、当たり前のことですが、期待や役割に応じて求めるものを明確にし、その成果に報いるということです。この期待・役割というのはたとえば、それぞれの雇用形態において、求めるものを明確にし、そこに対して成果が出たら、きちんと報いることであり、そこに対して全員がこだわるという考え方です。

3つ目は、一人一人の可能性を信じてその成長の機会を会社が提供していくということです。成長の方向性は、人によって色々あっていいと思っています。ただ、その可能性を信じて、自ら主体的に自立的に動き、成長していけるように、会社としては機会やステージを提供しますという考え方です。

4つ目も特徴的だと思っていますが、働く一人一人が自分のキャリア形成と真摯に向き合っていける環境である、ということです。会社があなたのキャリアを作ってくれるとか、会社にいれば自分は成長できるとか、会社が何かをしてくれるという発想は捨てて欲しいと。あくまでも自分自身が自らの責任でキャリアを作っていくという考え方です。

それから、5つ目。趣旨がここだけ違うのですが、いい時も悪い時もみんなで分かち合うという姿勢です。業績が良い時も悪い時も、社員同士が協働し、信頼し、高め合うという関係性を持つことが、新しいビジネスやサービスが生まれてくるベースなんだという考え方をこう表現しています。


(リクルートキャリアが人事制度を通じて大切にしたい5つのこと)

先がみえない中でも自分のやりたいことを起点に一歩踏み出す、それが組織の活力を生む(浅野氏)

組織風土を創るために、我々が取り組んでいることを紹介していきます。

まず成長を支援する制度ですが、僕らは必ず真ん中に「人」を置いています(※下図参照)。社内では“CDC”と呼んでいますが「キャリアディベロップメントサイクル」の略です。これにどこまでこだわれるか、が我々人事にとってめちゃくちゃ重要だということをいつも言っています。仕事の経験を通して学んで成長する。あくまで「仕事の場が、成長の場である」というのが、考え方の真ん中にあり、そのうえで「一人一人が中長期的にどうなりたいのか」「キャリアはどう積んでいきたいのか」ということを上長とも共有します。今の自分の数字や、仕事における課題を設定し、理解した上で、ありたい姿に対する実現プランを決め、それを摺合せわせます。そして実行後に、「設定したプランはどうだったのか」「次への課題はどうだったのか」ということを振り返り、もう一回そもそもどうありたいのか、ということに戻る。それをグルグル繰り返すことを“CDC”と言っています。そんなの当たり前ではないかと言われるかもしれませんが、ここにどれだけ時間と人をかけて、やるかというのが、我々としては、こだわりどころだと思っています。

自分自身でキャリアを真摯にとらえ、考えて、先が見えない中でも、自分のやりたいことを起点に一歩踏み出していく、それにこだわることが活力を生み、我々の目指したいビジョンや働く喜びに繋がっていくということを信じてやっていく会社にしていきたいと伝えています。

また、僕らは人材開発委員会と言って、評価ではなく育成をテーマに、上長同士が集まって「メンバーが能力開発していくテーマは何か?」「今の仕事が何に繋がるのか?」「どうすれば、どの能力が伸びていき、本人のwillが実現していくのか?」ということを、配置とかミッションも含めて話し合っています。本人と上長だけではなく、それを第三者を含めた人たちが複眼で会話をするということが意味あると。成長していってもらう、あるいは育成していくというためには、こういう場が大切なんだということで、人材開発委員会を行っています。

 
(CDC:キャリアデベロップメントサイクル)

次に、多様な働き方を支援する制度についてです。基本的には育児・介護にフォーカスしていますが、僕らのコンセプトは「活躍支援」です。両立するための制度を整えますという考え方は、全然ありません。もちろん、制度は重要ですが、それはステップの一つであり、僕らのゴールは活躍支援なので、その人たちが活躍できる場をちゃんと提供するという「機会提供」という考え方に基づいています。

この他、風土醸成と言う意味でゴールインボーナス=GIB(ギブ)という制度があります。リクルートが創設した時からずっと続いている制度でして、組織としてお互いを信頼し刺激し合う関係を備える土壌を作るためのものです。簡単に言うと組織の達成状況に応じて、インセンティブ(お金)が払われる制度です。組織目標が達成できれば、組織の人たち全員にインセンティブとしてお金がでるのですが、特徴的なのは「獲得したインセンティブは必ず、会社の中で4人以上一組でどこか旅行に行きなさい、そうじゃないと半額にします(笑)」というものでして、組織でのコミュニケーションを活性化させるためにGIBを使っています。その他の制度でいうと、アニバーサリー休暇、リフレッシュ休暇。リフレッシュ休暇は3年に一度与えられますが、そのたびにお金が20万出ます。またアニバーサリー休暇は、1年に1回与えられますが、5万円支給され、かつ有休も消化するという考え方なんです。有休消化促進でもありますが、実は有休を取得させることで「お互い様」みたいなコミュニケーションに繋がっていくかと思っています。

たとえば、ある人が4、5日間お休みをして、その間誰かがその仕事をサポートします。そのサポートした人も別の機会にアニバーサリー休暇をとるわけですね。そういった意味での、お互い様と言うのもありますし、サポートすることで仕事の中身が分かってしまうんですね。「こいつ、こんな仕事の仕方をしているのか」とか「この人この辺がやっぱすごいんだな」とかが見えてくるんです。それがいいという意味も含めて3、4年は続いている制度です。

最後に、なんでここまでこだわってやっているか。やはり僕らは人が中心にあり、出発点であると。CDCサイクルに、こだわっていくということについては、時間とコストがかかっても、敢えてやる。そのバランスの中で僕らは選択していくということが特徴かなと思います。


(感想シェアタイム)

Q&Aタイムでは、

「社会の情勢によって人事制度を適応させていくというニュアンスの話が冒頭あったと思うんですね。恐らく人材開発委員会が中心となって情勢を見ながら考えていくと思うんですけど、それは具体的にはどようのなプロセスなのか?

「インセンティブによって実際どのような変化が起こったか?」

「人材開発委員会で具体的にでるマネージャーの方の悩みはどのようなものがありますか?」

「会社としてのCDCに対するこだわりは理解できたのですが、時間とコストについて、最終的にどう兼ね合いとつけているのでしょうか?」

など、多くの感想や質問がでました。

浅野さんからは

「人の「will」を引き出していくプロセスは実は結構難しいです。具体的な仕事を伝えたり、与えるのも簡単ですが、では、本人は何をやりたいのかや、3年後5年後にどうなっていきたいかを引き出していく作業は、今のやってる仕事とは全く関係ないことまで含めて会話をすることになるので、自分の色々な思いを一旦横に置かないとできない。なので結構難しくて、僕らも簡単にできると思ってませんので、トレーニングだったり、スキルレベルを上げていかないといけないなあというのはすごく思ってます。」

「組織なので、必ず全員の言うことが100%実現するっていうことは、難しいと思ってますが、実現に近づくための環境や機会をできるだけ作るようにしています。」

「制度や運用については、完全に出来上がってると仰って頂きましたけど、全くできてると思ってなくて、まだまだ色々なところにチャレンジをしてる最中だとむしろ理解してるので、そこの中でのマイナーチェンジっていうのをしていかないといけないなあという事は感じてます。」

「大事なことはやっぱり評価だと思います。アウトプットが減ってる人に同じお給料をあげ続けることがまず間違いで、アウトプットが減った場合には、評価の摺合せが一番大事なことだと思います。評価とセットにするってことを必ずやっておけば、そんなに問題にはならないと思っています。今のところ問題を感じていません。」

などのお話をいただきました。


(質問に答える浅野さん)

「3.11後、東京湾の花火大会が中止に。「じゃあ、その花火僕に全部ください」(高田氏)

2人目は個人側ゲストスピーカーの高田さん。

3.11の東日本大震災後、2011年に「東北を、日本を、花火で元気に」をスローガンに、東北被災地において、地震で亡くなった方々の鎮魂のために一斉に花火を打ち上げるLIGHT UP NIPPONを立ち上げ、わずか3か月間で、7千万円以上の寄付金・協賛金を集めたという。組織に属しながら活動を進める上での葛藤や悩みを抱えつつ、2013年に博報堂を退社されました。現在は、東北の旬の海産物を提供する飲食店「月々」を東京赤坂に開業し店主でもあります。そんな高田さんの組織にいるからこそできる事、出来ない事などご自身の体験をお話していただきました。

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(活動の紹介をする高田さん)

僕は、ずっと海が好きで東京水産大学に進学しました。卒業後1年間、自分探しの旅をし、サイパンでダイビングのインストラクターとして1年間働きました。働きながら、未来について考えてみると海のことをまだ勉強し足りない気になり、研究者になると面白いかもしれないと思ったんですね。そこで大学院に進むことを決め、東京大学大学院の海洋研究所で研究を行いました。ただ、このような特殊な研究所も、就職活動の時期はやってきます。海のことしか知らずに育ってしまったので、海洋とか水産とか食品関係に絶対就職しないと決めてました。なぜなら水産系には、簡単に入れたりするので、敢えて除外し、自分が全くやったことのないジャンルに飛び込もうと。あと同じ時間使うのであれば、お金を多くもらえる仕事しようと。いろいろと就職活動を行った結果、博報堂に入社しました。

入社後数年が経ち、2011年3月に東日本大震災が起こりました。丁度クライアント先にいて「この地震なんなんだ一体?」と想いテレビを見せてもらって初めて状況がわかりました。

かなり被害が大きかった大槌町は、僕が大学院の時、学生生活を送っていた場所でした。様子をみてるとすごく心配になってしまって、もうどうすればいいのかわかんないんですよね。

そして「自分は広告代理店の人間として何ができるんだろう」と考えました。体は元気ですし、体力にも少し自信があったので瓦礫撤去だとか、炊き出しをやろうとか、物資を運んで行こうとか、いろんなこと考えました。ただ考え続ける中で、ふと広告会社に所属している自分にしかできないことを考えようと。広告会社だとやはり、エンターテイメント的なことがイメージがつきやすかったんですよね。そんな時に、東京湾の花火大会が中止になります、という話があり、「あ、じゃあその花火、僕に全部下さい。これを東北に持って行って、寂しい顔ばかりで、全然楽しみの欠片もないところに、みんなに笑ってもらえるものをコンテンツとして持っていきたいです」と伝えました。とにかく明るくしたいなと思ったのです。

そして、僕は「LIGHT UP NIPPON」の企画を思いつき、企画書を作り「東京湾の花火大会を運営している花火業者さんともうお話ができて協力してくれるって言ってます。だからこの為に会社を挙げて協賛金を集めてこの花火を上げませんか?」と会社の偉い人に伝えたのです。

その人からの帰ってきた言葉は「それはカネになるのか?」です。

「それはカネになるのか?」と言ってる彼もどうかと僕は思ってしまったのですが、僕は「いや、カネにはなるかなんないかわかんないですけど。多分ならないんじゃないですかね」という話をしたら「だったら会社でやる意味はない」って言われたんですよね。それを聞いた時に「あ、確かにな」と僕自身も思いました。

会社はまあそうだよな、利益が上がらないことはロスにしかなんないから、そっか、と。

「じゃあ僕これ個人でやりたいんですけどいいですかね」と伝えたら、その役員の方も職務規定とか全然見ていなくて、僕も全く見てなかったんですけど(笑)、「おお、いいんじゃねえか。個人で頑張ってみろ。おまえのやれるとこ見せてみろ」と返事が返ってきました。

しかし、本当は職務規定違反なんですね。広告会社の人間は、広告業をやっちゃいけないのです。

そのお金を協賛企業に回ってお金集めてきますって自分で言って、自分で企画書作って、自分で協賛企業回りました。会社の名刺は一切出さずに「あの、すいません。震災復興支援で東北にエンターテイメントで協力したいと思ってます」というテレアポをひたすらやっていました。

そして、気がつけばなんだかんだで花火が上がりました。1年目、8月11日に10か所で2万発の花火を上げました。金額でいうと7千万集まったのですが、これはもう奇跡です。こんなのはもう多分二度と出来ないと思います

最終的に何が起こったのかというと、結局会社としては何もできないという結論になったのです。個人のやりたいことと会社のやりたいこと。会社として被災地にあの時、2011年に何かをするっていうことの恐怖というかリスクを考えたらうちの会社だったら絶対やらないですよね。花火って一個倒れて失敗したら大変なことになりますし、未だに僕も同じですけどほんとに一個事故があったら何やっててもなんも意味もなくてですね、大きなマイナスにはなってしまいます。ですから会社がこの選択をしなかったのは僕はすごい正しいなと思います。ただ入社した時に僕が聞いていたこの会社はものを作っていく会社で、社員が次から次へと提案して、それが世の中にとっていいことであればそれは会社は全面的に応援するんだっていうことを僕が1年目からずっと刷り込まれていたので「今ここで広告会社がこういうことをしないで何するんですか?」って本気で思ってしまった2011年でした。

「来年もやってくれるんだよな?」って目をキラキラしながら言うんです。もうこれを言われてしまうと、会社からクビになろうがなんだろうがやらなきゃいけないなと(高田氏)

2年目。僕はもうこれ意地でもやろうと思いましたね。なんで意地でもやろうと思ったかというと、もう現地の人たちが「来年もやってくれるんだよな?」って目をキラキラしながら言うんです。もうこれを言われてしまうと、会社からクビになろうがなんだろうがやらなきゃいけないなと思ってとりあえずやりました。そして、やっていくと会場が13箇所になったのです。うちでも上げてくれ、うちでも上げてくれという話があって増えましたが、花火の数は減ります。金額が減ったのです。4800万円です。でも、現地に来た人たちは倍になりました。認知度が上がり、人が増えたのです。

でも、僕は全然博報堂嫌いじゃないですよ。ほんと振り返ったら博報堂にいなかったらこんなこと一切できないですからね。だから博報堂のことも大好きだし、あそこでやってた仕事も大好きです。ルールを守ってないのは僕だったので、それは間違いなく僕が悪いんですが、もうちょっと僕は、夢のある会社だと思ってた分、それを一番語ってた役員の方の考えが、僕にはちょっとショックでした。

そして、3回目は同じく、4600万円集まりました。会場は14箇所となりました。

会社が今ようやく3年経って、東北のプロジェクトを電通さんに遅れること2年。やっと本気で東北のことやり始めました。そうなってくると、僕が出来たことはまだまだ沢山あったのです。ただ、メディア担当部署をやっていた僕は、そのどこに立てるわけでもないんですけども。でも、もっと早くもっと簡単にできることもあったし、僕を使ってくれれば、今、彼らがやっているプレゼンの半分くらいもっといいところにいけたのにっていうのがすごい分かることばかりなんです。なんかそれ見てたら余計残念になってしまい、寂しくなったりもしたのですが、今、会社に僕が残っていれば本当に会社とこのLIGHT UP NIPPONだけじゃなくてもっと取り組めたことって沢山出てきたと思っています。ただ、僕はそれを放棄してしまったので、今、個人になって、自分ひとりでやっていて何が面白いかというと、なんのしがらみがないので、ホントにもう自由に飛び回って好きにやってます。これはこれで全然悪いことではないのですが、ひとりでできる限界をを既にもう感じてます。会社を辞めてホントに自由になって、なんかなんでもできるなあと思った反面、会社にいてできたことはもっとあったのかなと今は思ってます。

でも、僕は全然後悔はしていなく、今、外にいるから会社の人間にも強く言えることも実はありまして、実際競合プレゼンで東北のアドバイザーみたいなことも言われて、今、博報堂とも仕事をしています。

会社の考えるスピードと、個人の考えるスピードというのが当然個人のほうがたぶん何倍も速いと思います。

それも、会社が教育してくれたからこういう一人で戦える人間になってたんですけど、一人で戦える人間になっちゃってたんで、なんか会社のスピード越えちゃったみたいなところがあって、その結果結局なんか親と別れなきゃいけない、みたいなさびしい結果になってしまったのです。会社がもう少しこう聞き入れてくれる環境とか、会社がもう少しこう一人の、一社員の意見を聞いてくれる環境が、もうちょっと、あの結構極地的な状況の時だけでもいいので、2011年の一瞬でもよかったからもう少し話ができたらおもしろかったのかなと思っています。

明日死んでもおかしくないので、その中で自分のできること、自分のやりたいことをもっともっと真剣に考えてその短い時間の中でやりきっていかなきゃいけないのかな、という風に今僕は思ってます。

ですから、会社にいてできること、会社にいなきゃできないこと、で、会社を辞めなきゃできないこと、辞めなくてもできることっていうのをちゃんともっと選択を冷静にしながらこうやっていけたらよかったのかな、と今思ってます。

(会場から質問する参加者)

3.11がなかったらあるいはもし大槌にいらっしゃらなかったとしたら、高田さんは今どういうキャリアを積んでいらっしゃっるとご自分で思いますか?

大槌に行かなかったら多分東北には行っていないと思います。そもそも論ですが、ただ、海に関わる人間として、海が起こしたことですから、そのやらなきゃいけないという気持ちはあったと思うんですけど、実際にそこで自分の友達が連絡とれなかったりとか、いなくなったりしたかもしれないとか死んじゃったかもっていうことが頭に浮かんだのが一番スタートだったので、大津にいなかったらたぶんあそこにはいなかったのかなと思います。ただ、そもそもじゃあ震災がなかったらですね、なかったら、たぶん僕はなんの疑問ももたない、疑問を持ちながら、なんだよって言いながらメディアの仕事をたぶん今もやっていると思います。

3.11がなかったら、僕はたぶんマストを自分の力の中の6割くらいでマストだけやっつけて、残りのパワーを全部外にいく、向けてるっていう、まあ会社にとっては本当に生産性の悪い社員になっていたと思います。

ダイアローグテーマ: 「あなたにとって理想の働き方は?あなたにとっての理想の職場や組織は、というものはどうなのか?」

       

「みなさんと共有したのは、環境とか一緒に働いている人だとかが結構大事だね。ということと、あとは、本当にやりたいことが決まった時に、そこに自分が持っているもの。たとえば時間であったりとか、お金であったりとか、能力であったりとかっていうのは備わっている場合が多いのだと思います。」 「最後まとまったところとしては、willとcanとmustのバランスっていうのは大事だ。その意識を持って働くことが、自らいきいきしていくことのきっかけになるんじゃないかなっていう話でまとまりました。」

 

活発な対話が行われ、会場は大変に盛り上がりました。 そして、会の最後浅野さん、高田さんから一言ずついただきました。

「組織から出ることが別にダメなことではもちろんない。そういうやりたいことが見つけた人が、自分たちでやりたいことを見つけていくっていうこと自体は日本にとってめちゃくちゃいい事だと僕は思うので、そういう意味でいうと何かに縛られること自体がいい事ではないということも感じました。」(浅野氏)

「本当に一番いい形というのは、自分のやりたいところを会社についてきてもらえるのが一番いいのかなっていうことを、辞めるとすごい感じて、辞めて本当に感じたことですので、なんかそういうところをもっと政治的なのか思いなのか仕組みなのかわからないですけど、そういったところを、会社のリソースっていうのはすごく有益な部分があると思うのでぜひそういったところでも活動していっていただけたらいいなと思っています。また、僕らは毎年花火を向こうしばらく10年20年は、やっていると思うので、花火が上がりそうだぞ、と思ったら思い出してください。(高田氏)

【開催報告】NPO×しごとフォーラムに登壇しました。

ゲスト:須藤淳彦氏(ベネッセホールディングス㈱ソーシャルプロデューサー)/藤村隆氏(NPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京事業統括COO)

2014年2月22日に浜松町の東京貿易センターで開催された「NPO×しごと」フォーラム2014in東京のイベント「NPO/企業からみる『働き方と組織の未来』」の企画開催に当団体が協力し、石川がゲスト/ファシリテーターとして登壇しました。


(プレゼンテーションする藤村氏)

<イベント概要>
NPO/NGOを含めた「働き方」について、企業からNPOへ転職した方と、NPOとの連携やソーシャルビジネスを展開する企業の方にゲストスピーカーに登壇いただき、活動を始めるキッカケと魅力についてお話いただきます。 「理想の働き方」や「組織との関係性」等について参加者同士の意見交換や、スピーカーへの質問タイムもあります。

http://npo-sc.org/nposft2014/practitioner.html#a17

登壇者紹介

<ゲスト>
■須藤 淳彦(すどう あつひこ)氏
株式会社ベネッセホールディングス 事業戦略室 ソーシャルプロデューサー


[プロフィール]
1987年にベネッセコーポレーションへ入社。主にデジタル教材の企画開発部門の要職を歴任。2013年からベネッセホールディングスのグローバルソーシャルイノベーション部の立ち上げに携わり、同社のソーシャルビジネスにおける事業開発をリード。国内外NPO・企業との連携を含め、企業内アントレプレナーとして「新興国の教育を支えるプロジェクト」「シニア世代が活躍する社会をつくる“オトナの寄り道”プロジェクト」「ETIC.SALイクメン白書」など様々な活動に関わる。また自社の“国内・国外留職”プロジェクトを通じて、社員が活き活きと働くための組織づくりも推進中。

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藤村 隆(ふじむら たかし)氏
特定非営利活動法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京) 事業統括COO


[プロフィール]
2006年に日本IBM入社。主にソリューションセールス、コンサルタントとして活動。2012年より新規事業開発支援や海外進出支援を担当し2013年に退職。大学時代に国際青年環境NGO A SEED JAPANにボランティアスタッフ・理事として関わったことがきっかけとなり、プロボノ活動を開始。2011年よりソーシャルベンチャー・パートナーズ東京にパートナーとして参画。日本在住の外国人難民を支援する、認定NPO法人難民支援協会との投資協働チームのリーダーを務める。また日本IBMプロボノプロジェクトを通じてNPO法人Teach For Japanを支援。2013年より新しいチャレンジの場としてSVP東京に事業統括COOとして参画。1児の父

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<ゲスト/ファシリテーター>
石川 貴志(いしかわ たかし)氏 (※写真右)
「働き方と組織の未来」ダイアローグ 主宰
特定非営利活動法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京) パートナー 
丸善CHIホールディングス株式会社 経営企画部 

[プロフィール] 
IT企業、人材サービス企業の事業開発部門を経て現職。本業の傍ら、第1子の出生を期にプロボノ活動を開始。2012年よりソーシャルベンチャー・パートナーズ東京に参画、NPO・社会起業家への経営支援を行う。また現在は、個人/組織の双方にとっての“新しい働き方”を考える対話の場、「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションの発起人 兼 ファシリテーターとして活動中。2児の父。

ベネッセがなぜソーシャル領域にかかわろうとしているのか?(須藤氏)

一人目のゲストスピーカーはベネッセホールディングスの須藤氏。ご自身も本業の他にNPO支援やソーシャル活動を多数行われている。そんなソーシャルビジネスに想いのある須藤氏から見る「ベネッセがなぜソーシャル領域にかかわるのか?」、またソーシャル領域で発生しているイノベーションに対して「ベネッセとして感じている脅威と機会について」を語ってもらいました。

ベネッセとしてソーシャルビジネス領域における数多くの事業開発事例があるが、それらを企業としては「①事業化(機会)」「②(社会)基盤」「③社員教育」の3つの視点でみているという。またNPO・NGO・スタートアップ企業と大企業のリソースや課題、行動姿勢の特徴をあげ、それぞれに一長一短があることをお話いただきました。

また社内の組織づくりにも力を入れている須藤氏は、「みなさんがこの会場に今回参加した理由は何ですか?」と問いかけをしたあと、「今までの働き方」と「これからの働き方」の変化と、その中でそのようにキャリアを築いていくかということについてもお話いただきました。

すごくない人がすごいことをやること=すごいこと(藤村氏)

2人目のゲストスピーカーは藤村氏。大学卒業で新卒入社した日本IBM、その中で大規模プロジェクトを動かし、新規事業や海外事業担当にもなり、はたから見れば順風にみえる藤村氏がなぜ、NPO業界に転身したのか。藤村氏にはその理由となる3つ原点があるという。

1つ目は研究者だった父と中学教師だった母の両親からの愛情、2つ目は10歳で右足が義足になったことで、それまで普通だった生活全てが挑戦にかわったこと、3つ目は大学院時代に関わったNPOバンクの活動で出会った「かっこいい社会人像」だった。

転職に際し最後に背中を押したのは、先輩の「グローバルに活動する基礎はIBMで既にできている、何かやる準備をするのではなく、やりたいことをやったら?」と、妻の「あなたの海外志向って、女子大生がパリに留学したいって言っているように聞こえる」という2つの言葉だったという。

藤村氏の現在所属するSVP東京。そのSVPは「社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、1)資金の提供と、2)パートナーによる経営支援を行うことにより、共に社会課題の解決を目指す」ことを目的としており、「①投資協働先であるソーシャルベンチャーの成長」と「②SVPに参画しているパートナー自身の成長」の2つのミッションを持っている。

NPO業界に転身してまだ半年足らずの藤村氏は今後、SVPを様々な地域、企業、世界へ展開していきたいという。「すごい人がすごいことをやるのがすごいのではなく、すごくない人がすごいことをやることがすごいことだと思う。SVPをスケールアウトすることでそんな仕組を社会につくっていきたい」と語った。

(QAタイムの須藤氏、藤村氏)

後半は、「あなたにとっての理想の働き方とは?」というテーマのもと、ワールドカフェ方式で参加者同士の対話を深めました。就職活動前の大学生から50代のビジネスパーソンまで様々な方に参加いただき、最後のハーベストタイムでは多くの意見がでました。

【イベントレポート】第3回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション

ゲスト:山田理氏(サイボウズ株式会社取締役副社長)/小緑直樹氏(株式会社アスタンス 代表取締役社長)

2013年12月9日に第3回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションを新宿センタービル大ホールにて開催しました。


(ダイアローグセッションの様子)

「未来の働き方はどうなっているのだろうか?」

「人と組織の関係性は、どう変化しているのだろうか?」

毎回、新しい働き方を推進・実践する「企業」と「個人」からゲストスピーカーを各1名お呼びし、未来の「働き方」を双方の視点から考える本セッション。第1回、第2回に引き続き、2度の定員増を経て約120名の方に参加いただきました。ダイアローグでは、参加者同士の活発な意見交換や、全体への発信が続き、最後までとても濃い時間となりました。

登壇者紹介

<企業側ゲストスピーカー>

山田 理(やまだ おさむ)氏:
サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 ワクワク本部長

[プロフィール]

日本興業銀行(現:みずほ銀行)を経て2000年にサイボウズへ入社。財務責任者として同社IPOの実務を全面的に行う。その後、事業拡大に伴い、人事、知財法務、内部統制部門も合わせて担当する中で、人事部門については、一貫して同社の人材採用戦略、人事 制度・教育研修制度の構築を手掛ける。2007年4月に取締役副社長に就任。 現在、サイボウズでは、社員の自主性を重んじて「選択型人事制度」「副業OK!独立OK!」など人事制度を自由な方向にシフトしている。
・サイボウズ株式会社:http://cybozu.co.jp/
・サイボウズのワークスタイル:http://cybozu.co.jp/company/workstyle/

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<個人側ゲストスピーカー>

小緑 直樹(こみどり なおき)氏:
株式会社アスタンス 代表取締役社長
公益財団法人日本ユースリーダー協会 上席研究員
ジャンプ株式会社 マネージャー
株式会社ジョブウェブ 採用戦略事業部 シニアディレクター

[プロフィール]

大学卒業後、ジョブウェブ(新卒採用支援会社)に入社。事業部長を歴任後、第1子の誕生に伴い「毎日息子をお風呂に入れられる生活」を目指し2012年6月に退社。プロジェクト型で複数組織に属する働き方をスタートする。現在、4足のわらじを履き、大手からベンチャー企業に対する採用コンサルティング、高校生・大学生向けにベトナムなどアジアを中心とした海外スタディーツアーの開発・運営に従事。また企業や学生向けに全国で年間70本程度の講演活動も行っている。
・株式会社アスタンス:http://astance.co.jp/
・公益財団法人日本ユースリーダー協会:http://www.youthleader.or.jp/
・ジャンプ株式会社:http://jumpers.jp/
・株式会社ジョブウェブ:http://company.jobweb.jp/

試行錯誤し辿り着いた「選択型人事制度」(山田氏)

1人目は企業側ゲストスピーカーの山田理さん。サイボウズでは、創業から人事制度を試行錯誤してきた。年功序列ではなく成果主義を取り入れ、評価の納得性を得るために目標達成度評価に加え、事業部長が全社員の中でほしい人材に点数を分配する「市場評価」や社員がランダムに選ばれた5人に対して評価を行う「360度評価」を導入したこともあったが、なかなかうまくいかなかったという。

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「市場評価」や「360度評価」を続けていくと、社員は誰を見て仕事をしたらいいのか分からなくなるという状況に陥ってしまいました。上司も部下の評価理由が分からず、上司と部下の信頼関係はどんどん薄れていく。そこで「人を見て働く、人を見て評価する」いう原点に立ち返り、信頼関係を大事にできるような選択型の人事制度を整備していくことになったのです。選択型人事制度とは、①ワーク重視型(裁量労働制)と、②ワークライフバランス重視型(月間残業時間40時間程度)、③ライフ重視型(残業なし、もしくは、短時間勤務)を本人の意思で選択し、会社が認めるという制度です。どの働き方が良い/悪いという話ではなく、お互いの価値観を尊重し合って助け合っていきましょうというものです。選択型人事制度を実施後、時間だけではなく働く場所の選択も必要ではないかということで、在宅勤務を導入しました。在宅勤務導入の目的は『雇用機会の創出』『業務効率の向上』と『ライフ重視の支援』です。時間も場所も自由にすると「社員がサボる、管理できない、情報がもれる」という声があがりましたが「でもそれ本当ですか?」という思いがありました。実際やってみると社員はみんなにサボっていると思われるので、頑張って働くんですよ。アウトプットをより可視化しようとする。現在では時間と場所が自由な働き方として「ウルトラワーク」という制度を導入しています。実際ウルトラワークを使うことで時間と場所に制限がなくなり、休まずに働くことができ、アウトプットが増える結果となりました。

今後は、時間、場所の働き方の選択肢によって、9分類の働き方にチャレンジする予定です。細かく分類し共有することで、本人だけでなく周りの人が、その人がどんな働き方をしたいかということを理解することができ、渡せる仕事が決まってくる。その人が出来ない仕事が分かるとサポートもしやすいし、仕事も渡しやすいのです。
そして、自分の好きな場所で働き、時間を短くすることで、アウトプットが減る場合にはお給料もこれに合わせて調整していく。自分がこういう働き方を選ぶとこれぐらいのお給料になるということを可視化することによって、本人も納得して選ぶことができるようになります。
また現在検討中の施策に、独立支援制度があります。これは、辞める人をサポートするということではありますが、社員が独立する術を身につけることを支援する制度です。今までの雇用責任とはお金を払うことでしたが、これからはきちんと外で通用するスキルを身につけることを支援することも求められていくと考え、検討しています。その他、育児休暇6年、育「自分」休暇6年、ルールはありますが副業OKなどの制度もあります。

 「人事制度は社員へのメッセージ」(山田氏)

サイボウズが制度を創るときのポリシーに「多くの人がより成長して長く働いてもらいたい」というものがあります。制度を作るうえで大切にしていることは『合理性6、メッセージ性3、わびさび1』のバランスです。この中でもメッセージ性がとても大事です。みんな費用対効果とか、合理性だけでやってしまおうとしますが、本当はとても難しい。育児休暇6年についても合理性はないが、6年経っても帰ってきて欲しいというメッセージ性はある。そのうえで一つ一つの人事制度対して、どういう理由で創ったのかということを考え、共有することが大切。人事制度は福利厚生ではなく、あくまで生産性向上のためです。「生産性が向上していないのであれば、この制度はやりません。単純に社員を楽にするためにとか、お給料の代わりにやっている制度ではありません」というメッセージを出すことも大切です。

また、社員のモチベーションについては「この会社でこの仕事がしたいと思えて、選択肢の中から自分が選んでいる」と思えることが大事です。会社としてやるべきことは、きちんと成長出来ることを増やしてあげて、選択肢を増やすことです。ライフがあってワークがある。人はどういう生き方をしたいかということを考えて働きます。生き方や働き方の価値観は人それぞれ、人事制度も理想を言えば100人100通りの制度を作っていくのが大事だと考えています。つまり人事制度は変えるものではなく、増やすものだと思っています。

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ゲストスピーカーからのストーリーテリングの後、参加者同士で感想をシェアし、その後のQ&Aタイムでは、
「今までの人事制度で特に失敗したと感じたことは何ですか?」
「企業規模が1万人だと、同じような制度を導入するのは難しいのではないですか?」
「副業やっているメンバーの本業が疎かになった事例はありませんか?」
など、多くの感想や質問がでました。

山田さん曰く「大事なことはやっぱり評価だと思います。アウトプットが減ってる人に同じお給料をあげ続けることがまず間違いで、アウトプットが減った場合には、評価の摺合せが一番大事なことだと思います。評価とセットにするってことを必ずやっておけば、そんなに問題にはならないと思っています。今のところ問題を感じていません。」

(Q&Aタイム)

「仕事選びの軸は『意思決定権』、自分で決めることが面白さにつながる」(小緑氏)

2人目は個人側ゲストスピーカーの小緑さん。2012年の6月から独立し、4つの組織に属しながら収入を得てご自身で活動されています。第一子が生まれたことをきっかけに、働き方を変えられました。

軽快なトークで「夢や志は特にない。ただ自身の働き方・生き方を振り返ると、昔から意識してきたことが一つあるが、それは「全力で楽しく生きたい」ということ。この思いは結構誰にもまけないのではないか」という小緑さん、ご自身の等身大の生き方・働き方について「過去」「現在」「未来」にわけてお話いただきました。

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まずは私の過去の話から。20代は超ハードワークの時代でした。思いっきり仕事をしたい、思いっきり楽しみたいと考え、学生の就職支援、企業の採用支援をしているジョブウェブに入社しました。私自身、就職活動で企業を選ぶ際の一番の軸は、「自分で意思決定できるかどうか」という点でした。そのため、就職後たくさん勉強もしました。意思決定ができるようになると、面白さが増し、目の前のことを本気でやりきる充実感を得ることができました。ジョブウェブでは、営業、企画、マネージメントや自社の採用と本当に幅広くやらせてもらいました。仕事というのは、全部やるのが当たり前だと思っていたし、365日24時間に近いくらい、寝袋を持って働いていました。そして、採用の仕事というのは、ただの当て込みではなく、組織に、一人ひとり個性が違う人を当てはめる全体最適をはかることであり、それこそが自分の介在価値であると気がつきました。そして、配置についたあとに、しっかりパフォーマンスを発揮できるように、能力開発してあげることが教育であり、採用+教育の二つに関わることはめちゃめちゃ熱く、面白いのではないだろうかと考えるようになりました。そんな中、私も結婚し子宝に恵まれました。

(小緑さんのストーリーテリング)

「家族との時間を最優先に。その上で仕事で成果を出し続ける」(小緑氏)

現在は、家族第一主義で仕事の時間も家族の時間も楽しみたいと思っています。息子が0歳から1歳になる間、もの凄い速さの成長の過程を見たので、この過程を間近で見られないというのは、将来後悔する大きな要素になりえるなと実感しました。だからこそ、一日があるならば、「(一日)-(仕事)」の残りで家族の時間を確保するのではなく、「(一日)-(家族)」と最初に家族の時間を確保することにしました。独立後、私を受け入れてくれる周りの企業や組織があったことは、「働く価値観の多様化」という時代の後押しもあったと思います。

現在は採用と教育というドメインで4つの組織に属しています。大きく言うと、アスタンスという僕の会社が大きい枠組みになっていて、その上で公益財団法人日本ユースリーダー協会、ジャンプ株式会社、ジョブウェブにも色々お仕事を頂いているような状態です。業務委託やプロジェクト参加型と言う形で仕事をやっていますが、毎月の固定フィーでの契約もあるので経済的には非常に安定しています。本当にありがたいなと思っています。これもご縁かなと思っています

ただ複数の組織に関わり、出社回数も決まっていない中で、絶対にはずしてはいけないと考えているのは、「なにがなんでも成果を出す」ということです。現在のようにプロジェクト型で関わっているからこそ、成果を出さなくては自分の存在意義も無くなると思っています。短い間でいかに成果を出すのか、オン・オフをしっかり切り替え、色々なツールをつかったり、工夫をしています。これが私の現在です。

未来については、これから色々と挑戦していきたいと思います。現在、仕事についても非常に順調ですが、波があると思います。そんなに人生うまくいかないということもよく分かっています。なので、落ちた時にどう改善するかが重要かと思っています。今もこれからも、絶対楽しむという気持ちは変わりません。その中で特に未来に向けては「自己信頼」「自己肯定感」「自分への自信」ということをキーワードに、ビジネスや新しい取り組みを仕掛けていきたいと考えています。

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Q&Aタイムでは
「小緑さんの両親はどんな方ですか?」
「プレゼンの中で奥様のキャリアのお話があったが、家では奥様と仕事を含めどんな会話が多いのですか?」
「教育ということも仕事のドメインになっているかと思いますが、これまでの2年半の子育てで、これは仕事にもいかせるなと思った気づきやエピソードがあれば教えてください」
など、多くの感想や質問がでました。

小緑さん曰く「育児書はビジネス本よりもビジネスが学べる、本質的な本が多いと思っています。言葉が通じない小さな子供に対して、しっかり自分のコミュニケーションとして、意図とか目的を伝えるためにはどうすればいいかというと、単に「言葉だけ」という話じゃなくなってくるんですよね。そういう部分を考えられた育児書は、もの凄くビジネスに使えるなと思っています。」

「採用において、自分で考えて行動できる人とか、論理的思考能力というのはどこの会社も条件として挙げているが、その根底は自己肯定感だと思うのです。自分に自信がある人は、失敗しても自分の存在自体が揺るがないので、次の一歩を考えて踏みだすことができるんです。この根底の存在に気づいたことが、子育てを通した大きな気づきで、これは仕事を進める上でも、通じる部分かなと思っています。」

「今、仮説として、自己肯定感を育むのに必要なものは2つだと思っています。一つは、幼少期の親から愛される経験。この世に生まれてきてよかった、自分がここに存在していいんだという根底の愛されている感。これがあれば、どんな失敗をしても次に一歩踏み出す大きな力になると思うんですね。もう一つは、やりきる経験です。やりきった経験がある人は、自信からくる言葉に心が入っているので、相手に想いが届きます。コミュニケーションにおいても相手から信頼を貰う前に、まず自分のことを自分自身が信頼出来ているかが本当に重要だと思っています。やりきる体験というのは、小さな失敗や成功を積み重ねることで出来ると思っていますし、大人になっても可能な部分だと思っています。」

(Q&Aタイム)

ダイアローグテーマ1:「あなたにとって理想の働き方は?」

ダイアローグテーマ2:「理想の働き方を実現するのに必要なものは?」

後半のワールドカフェでは、「あなたにとって理想の働き方は?」「理想の働き方を実現するのに必要なものは何ですか?」をテーマにグループでダイアローグを行いました。

 (ダイアローグの様子)

 全体のシェアタイムには、

「ライフとワークのバランスを取る働き方を実践するためにはやはり仕事におけるプロとしてのレベルを超える成果を出すことが大切。そのためには根本的なところで、相手の求めている事を理解するということが非常に重要だと感じました。」

「テーマ1ではグループに独立を考えている方がいるなど、個人の働き方という視点でディスカッションがされた。テーマ2では逆に組織に所属されている方も多く、組織として「どういう仕組みを作ればよいのか」とか「どのようにチームビルディングをするんだ」という話題になり、まさに働き方というのは個人と組織の双方の観点が必要だと感じた。ただどちらにも通じるものとして「まず行動する」ということが凄く大事なのかなと思いました。」などの意見がでました。

(全体でのシェアタイム)

そして、会の最後に山田さん、小緑さんから一言ずついただきました。

今まで、経営というのはずっと会社の利益のためにされてきたような気がしている。利益は人件費を削って出るもので、その利益を取るのは株主の人。それを当たり前としてみんなが働いてきたけれど、その結果少子化となっている。なんなんだそれはと。本当は、人を増やすとか、何かが維持されていくというような事の為に働いているのに、働けば働くほど人が減っていく世の中は根本的に何かおかしい。

人を増やす、維持するということにのみ、本気で僕達は取り組んでいかなければならないと思うんです。そういうところにちゃんと投資をしたい、トコトン賭けてみたい。
それをやることで僕ら一人ひとりが働きやすい環境をつくって、みんなが生きる為に頑張っていったら、うまくいかない訳がないんじゃないかなって思っている。(山田理氏)

いろんな組織に属しながら働いている僕の最近の気づきは「空気を読む・読まない」という話です。空気をいい意味で読まないことが、本当に大切だと思っています。
「空気を読む」ということは、「言動価値」と「言動タイミング」の二つに因数分解されると思っています。ビジネスの場やチームで成果を上げてく場では、「言動タイミング」より「言動価値」が求められていると思うのです。組織の成果を考え、言動価値についても考えた上であれば、タイミングを無視してでも発言するのが本当に大切だと最近感じています。
ただ、プライベートの場では、タイミングを大切にしながら仲良くコミュニケーションすることも、とても重要だと思っています(笑)。」(小緑直樹氏)

終了後のアンケートでは、

「山田さん、小緑さんのプレゼンが大変いい勉強になりました。又、テーブルでも多くの業種の方と出会え、話せて自分の生活や仕事の仕方の参考になりました」(音楽業界 営業)
「多様な業種の方々の働き方、考え方が非常に参考になりました。特に自分の会社の“当たり前”が“当たり前でないこと”に驚くと同時に“もっとやれるはず”と再認識させていただきました」(投資会社 経営者)
「このようなセッションを“社会を変えるきっかけ“にできればと思うくらいエネルギーにあふれた場でした」(NPO スタッフ)
「就活生の時に聞きたかったというのが素直な感想です。社会人の方がざっくばらんに話してくださるのが本当に貴重で嬉しかったです」(私立大学4年生)
「今進もうとしている、働きながら事業を手掛けるということに対して有意義な内容でした」(大手家電メーカー システムエンジニア)

最後になりましたが、今回の我々の活動に共感していただき、会場をお貸しいただいた大成建設の小野眞司さん、ありがとうございました。またご参加いただきました多くの皆様、本当にありがとうございました。

【イベントレポート】第2回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション

ゲスト:加藤健太氏(株式会社エンファクトリー 代表取締役社長)/加藤遼氏(株式会社パソナ ソーシャルインキュベーター)

2013年10月28日に第2回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションを開催しました。


(最後に全員で集合写真)

「未来の働き方はどうなっているのだろうか?」

「人と組織の関係性は、どう変化しているのだろうか?」

毎回、新しい働き方を推進・実践する「組織」と「個人」からゲストスピーカーを各1名お呼びし、未来の「働き方」を双方の視点から考える本セッション。前回に引き続き、2度の定員増を経て約80名の方に参加いただき、後半のダイアローグでは、多くの参加者から全体への発信が続き、最後まで大変濃い時間となりました。

登壇者紹介

<企業側ゲストスピーカー>

加藤 健太(かとう けんた)氏:
株式会社エンファクトリー 代表取締役社長
http://enfactory.co.jp/

[プロフィール]

リクルートを経てAllAboutの創業メンバーとして財務、総務、人事、広報、営業企画などCFO含め裏方周りのあらゆることを担当し、2005年にIPO。その後、株式会社エンファクトリーを分社し代表就任。エンファクトリーでは「ローカルプレナー(※)のための自己実現ターミナルの創造」をビジョンに、社員に対しても「専業禁止!」というポリシーで活動している。
※ローカルプレナーとは専門家や個人事業主、つくり手はもちろんのこと、企業に勤めながらセカンドジョブやNPO・ボランティアなどを通じ、自己実現に向けて個々人の意志で仕事や生活を推進する人々を総称する造語です

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<個人側ゲストスピーカー>

加藤 遼(かとう りょう)氏:
GOB-Laboratory(ジーオービーラボラトリー) GOB-MANプロジェクト責任者
株式会社パソナ 営業総本部 Dotank本部 ソーシャルインキュベーター 兼
投資政策委員会事務局 “New Value Creation Fund” マネージャー
http://www.gob-lab.com/
http://www.pasonagroup.co.jp/

[プロフィール]

所属組織の内と外をつなぐカタリスト(触媒人材)兼イントラプレナー(社内起業家)。株式会社パソナでは、地域雇用・若者支援などをテーマに、行政・NPOへのコンサルティング、アドバイザー業務を担当。またコーポレートベンチャーファンド“New Value Creation Fund”のマネージメントを通じた社会起業家支援等を行う。本業外の活動として、”未来をつくる人の実験場「GOB-Laboratory」”にてワークセッションを通じたイノベーター、ソーシャルイントラプレナー(企業内社会起業家)の創出にも力を入れる。またプロボノ活動として被災地の雇用創出プロジェクトにも参加、本業と本業外の関係性を深めながら、会社の枠を超えて活動中。

「一歩を踏み出すだめの自己実現ターミナル」を創造する(加藤健太氏)

1人目は企業側ゲストスピーカーの加藤健太さん。エンファクトリーでは「企業に勤務しながら、自らやりたいことに向けて個々人の意思で仕事・生活を推進している方」を“ローカルプレナー”と定義している。社会における働き方の変化、コミュニティの在り方の変化、消費価値観の変化の中で、「日本全国のローカルプレナーをWEB+リアルの力で支援し、人と人との縁を作り出し日本を世界を元気にしていく」というミッションを掲げている。そして加藤さんも「私の肩書は『代表の代表』です。うちの会社で働く社員には、一人一人が代表なんだと日頃から話しています」と言われています。そんな加藤さんに、未来の働き方や現在の組織運営、人事制度に対する経営TOPとして哲学をお話しいただきました。

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(会社紹介をする加藤健太さん)

最初に専業禁止のことを話す前に、会社のご紹介ができればと思います。「その一歩を踏み出す自己実現ターミナル」というのが、僕らが実現していきたいビジョンです。ローカルプレナーの時代へと書いていますが、ローカルプレナーというのは造語でして、専門家とか個人事業主、作り手など、企業に勤めながら、NPO、プロボノ、ボランティアをやっている人でもいいですが「自らのやりたいことに向けて、個々人の意思をもって仕事もそうですし、生活を推進されている方々」を総称した名前です。

今後、働き方の変化だったり、自分の関わるコミュニティの変化だったり、消費価値観の変化が大きなうねりとなって、今後十年、二十年と続いていくと思っています。そういう時代の中で、ローカルプレナ―のような方々をいろんな側面で応援していこうという理念でやっています。


(エンファクトリーのミッション)

「日本全国のローカルプレナーをWEB+リアルの力で支援し、人と人との縁を作り出し、日本を、世界を元気にしていく」というミッションを掲げていて、基本的にはスモールなビジネスをやっている方々のマーケティングのお手伝いをやっています。スモールなビジネスをやっている方々って、潤沢なリソースを持っていないですし、一人でビジネスをやっていることはほぼない。そんな方々を繋いでいってサービスを展開し、今後は、マーケティングからファイナンスも含めて、全般的にそういった方々が活躍できるプラットフォームを創っていきたいと考えてビジネスをやっています。

ここからが本題ですが「専業禁止」。最初にメンバーに向けに私が書いたメッセージを紹介したいと思います。この内容がほぼこの理由を表していますので。


(メンバーへのメッセージ)

まず専業禁止と言っていますが、絶対副業しろとは言っていません。ただこれからの社会背景を考えた時に、個人でいきていく、「いきる」と言う言葉も「生きる」と「活きる」の2つにかけているんですが、これを大切にしています。あと、僕らがいつも考えているのは、楽しくないとやっている意味ないよねと。あと副業も、小銭稼ぎじゃなくて、自分が主(あるじ)の視線と立ち位置でやらないと意味ないよねと思っています。副業ではなく主業ですよね。ここで活きる力をつけていこうというのが、僕らが推奨する副業です。

その次が「皆が代表」という考え方ですね。これはどこの会社でもそうだと思うんですが、私も初めはリクルートいう大きな会社にいたんですけど、自分自身がマーケットからお金儲けのところまで一気通貫で見えると全然ちがいますよね。自分がそういう立ち位置で見えること、もしくは見にいこうとするスタンス、それがあるだけで全然違ってくると思っています。

あとは、僕らが事業として展開しているもの自体が、メンバーにとって自分自身が主役にたつフィールドですよと言っています。なので、僕らが世の中に提供していく価値は、そのフィールドそのものだよという流れです。だから専業禁止だけがボコっとでているというよりは、事業とか考えや理念にすごく連関しているということころが大きなポイントかと感じています。

個人には活きる力が必要。組織には変革型でプロ意識のある自立人材育成が必要(加藤健太氏)

私はオールアバウトの立上げをやっていたのですが「自立人材応援企業」という考え方でやっていました。人材の「自立」はどこの企業も同じように言っていますが、じゃ「自立」って何よ?というと本当にバラバラだし、掛け声だけのところもあると思っています。

研修での気づきも大切ですが、研修だけでは心のモーメントはぐーっと動かないものだと思うんですよね。あとこれ大切なことなんですが、会社で評価される人が、会社を変革していく人材とは限らない。改革していく人材というのは「何かやりたいこと、やるべきことがあるのではないか」ということで常に悶々としている場合が多い。そういう人材はオールアバウトにもいたんですが、大体会社をでていくんですよね。なので、僕らのスピンオフした会社では、思い切ってこうしようぜと。

会社視点からいうと「組織に順応するだけでなく、自ら主体的に考えてやりたいことに挑戦することにより、変革型自立人材の育成、プロ意識の醸成をする」、個人の視点でいうと「これからの変化の中でいきる力を獲得する」ということです。「なんとかする」という言葉があると思いますが、やっぱり自分事だとなんとかするんですよね。あろは人生を自分で主体的に選択していく、勇気と知識を実践で学んでいくということでしょうか。

世の中の大きな変化に対して、なんで活きる必要って必要なのか?個人として先が不透明な中どう適応していくか。会社も同じでどう対応、適応していくのかということが、ここ5年くらいでダイナミックに変わるんだと思います。

知識と知恵だけでなく、それを乗り越えてきたマインドが必要かと思います。企業も個人のことを考えているようで半分は自己責任だと思っているのではないでしょうか。会社も生き残っていく必要があるので。

企業価値は、昔と比べて人的価値次第で圧倒的に変わってくると思っています。なので「人材をどう集積できるか」「どうキャッシュフローにつなげていけるか」ということが、最大の企業価値になるわけですよね。よく「個人を尊重した誠実な振る舞い」と言っていますが、人に対する考え方を明確にして、お互い一緒にやろうというのが今後大切になってくるのかなと思っています。

実際に起業して退職していく人はいるのか?ときかれますが、実際います。特に優秀な人がやめます。ピンチですね(笑)。でもそれが前提です。出ていくことが前提なんで、出ていく時に繋がるんですよね。フェロー制度という制度をつくっていて、「相利共生」という考え方なんですが、辞めたあともケースバイケースでビジネスパートナーとして互いに利用し合うと。フェローは現在5、6人いまして、3ヶ月に1回くらい集まって新しい企画検討などをやっています。

ゲストスピーカーからのストーリーテリングの後、参加者同士で感想をシェアし、その後のQAタイムでは

「もともと専業禁止に興味があったのですが、評価報酬制度について何をもって判断されるのでしょうか?」

「離職率と入社率はどのくらいなのでしょうか?」

「私自身大企業にいたのですが、最近起業しまして、加藤さんのような会社にしたいと思っていますし。できるんだなと感じました。労働基準法との戦いはどうされていますか?」

などの意見がでました。

また加藤健太さんからは

「評価は、普通の会社と同じだと思います。個人でやっている副業は無視です。時間で評価しないので、会社にいてもいなくてもよいと。もちろん、ルーチンもありますよね。そこは、そういう職種でやっています。」

「離職率は、年に3~4人くらいでしょうかね。入ってくるのも繋がりで入ってくるケースが多いです」

「実際は戦ってません。実際はみなし残業ですかね。基本は裁量労働の枠に入っています。就業時間だけでみると、他の大企業やベンチャーと比べると僕らは短いと思います」

などのお話をいただきました。


(隣の人と感想シェアタイム)


(質問に答える加藤健太さん)

(質問に答える加藤健太さん)

会社外の活動と本業を意識的につなげる(加藤遼さん)

2人目は個人側ゲストスピーカーの加藤遼さん。本業のパソナでは、ソーシャルインキュベーターとして、行政、官公庁向けに事業企画、協働プロジェクト推進などをされています。本業外に主に3つの活動をしている加藤さんですが、活動を始めたきっかけと、始めてみて分かったその価値、また本業外の活動をいかにして、本業であるパソナとの活動に繋げているかということをお話していただきました。

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(活動のご紹介をする加藤遼さん)

今日は宜しくお願いいたします。まずは自己紹介をしたいと思います。

パソナでサラリーマンをやっているんですが、その他にGOB(ジーオービー)ラボラトリーというところで「若者の心に火をつける」ということをテーマに活動をしていたり、ふんばろう東日本プロジェクトというボランティアが2000人程いる組織で活動していたり、PanasonicとNPOサポートセンターが共同でやっているNPO向けのマーケティング支援プログラムなどで活動していますが、具体的に何をやっているの分からないと思いますので、一つずつ簡単にご紹介したいと思います。


(加藤遼さんの現在の活動図)

1つめですが、

GOBという組織なんですが、ミッションとしては「若者の心に火をつける」でして、やっていることは、イノベーターと呼ばれるような人たちを育成していきましょうということをやっています。その中で私が関わっているのがプレ・イントレプレナー(会社に属しながら新規事業をやっている人)の支援をしています。具体的に何やっているかというと、企業の中で社会課題解決型のプロジェクトに取り組んでいる人と、これから企業リソースを使って新規事業をやっていこうという人のトークセッションなどをやっています。去年もヤフーさんでやったときも、企業の新規事業担当者が40名くらい集まって開催しました。あと「ものアプリハッカソン」という、「IT×モノづくり」をテーマにしたハッカソンのファシリテーションなどもやりました。


(ヤフーで開催したトークセッションの様子)

GOB自体は、半分大学生、半分社会人の任意団体です。みんなプロジェクトベースで関わっていて、会社員の他、ミュージシャンやデザイナー、アーティスト、学生起業家など多様な人材がいて動物園のような感じです。

2つめですが、

ふんばろう東日本支援プロジェクトです。これは2~3000人の個人のボランティアが被災地に物資を送ったりコミュニティ支援で東北に通っていたりしているなんですが、

その中で私は「就労支援プロジェクト」をやっていまして、被災地の雇用を生んでいこうと。具体的に何をやっているかというと、民間企業と被災地のNPOの連携を推進して、例えばマイクロソフトさんと連携して、マイクロソフト製品のインストラクターを養成して東北で活動してもらうとか、東北で働きたい人向けにUIターン求人の紹介・マッチングをやっています。あと個人的な縁で、中央官庁の職員を30人くらいをバスにのせて被災地ツアーにご案内したこともあります。
(中央官僚向け被災地バスツアーの様子)

3つ目ですが、

NPOの支援です。これは簡単にいうと、NPOのマーケティング施策を半年間くらい付き合って、企画立案をしていくということに、社会人プロボノが入って支援するというものです。僕3年間くらいかかわっているんですが、助成金申請書作成支援とか、プロダクト開発をしているNPOの広報施策とか、社会人プロボノ・サポーターのコミュニケーション支援などをやっています。このプログラムは民間のCSR担当者や、NPOの中間支援者や、様々な業界の社会人プロボノ、学生ボランティアなどの多様な人たちがNPO支援のチームを形成して支援すると。

(NPOマーケティングプログラムの様子)

で、会社で何をやっているかというと、

官公庁向けの事業企画・コンサルティングなどをやっているのですが、領域としては人材サービス会社なので「雇用」とか「産業人材」です。中小企業支援を通じて、雇用を生んでいく、また社会課題解決型ビジネスを支援して雇用を生んでいくなどもやっています。

パートナーとしては「地方自治体」が多いですが、「経産省」「内閣府」とも一緒にやっています。一つの大きなテーマとして「若者応援」がありまして、大学を卒業しても就職がなかなかなか決まらない若者にビジネスマナー研修や職業訓練プログラムをうけてもらい就職してもらうということをやっていました。

仲間の活き活きする姿に、自分がいかに貢献できるか(加藤遼氏)

今日のテーマが「働き方の未来」なので「イキイキと働くとは何か」ということを少し話したいんですけど。自分の仕事で振返ってみると「人に自分が活かされて、活かされていることに感謝して、周りを活かしていくことだな」と。自分が活き活きとしている背景には、自分を活かしてくれている仲間の存在が結構大きいんですね。例えば、家族の中でも弟。弟は起業家でして、ベンチャーを複数立ち上げています。彼みたいな存在も僕を活き活きとさせてくれる存在です。あと高校時代、大学時代のバンドメンバー、会社で復興支援をやっている同僚、NPO支援を一緒に取り組む仲間、若者支援に取り組む仲間、とくに某若者支援NPO理事長の方にはセミナーで登壇する機会を始めて頂き、GOBのメンバーなどにも多様な人材との交流の場に引きずり込んでくれて感謝しています。人を活かすためには、自分が活き活きする必要があると思いますし、自分が活き活きとするためには、自分を活かしてくれる仲間と多く出会うことがすごく重要なんだなと最近感じます。で、出会った仲間の活き活きする姿に自分がいかに貢献するか。それによって、また自分が活かされるということを感覚的に感じています。ソーシャルキャピタルや社会関係資本についても色々と言われていますが、要は“顔の見える付き合い全て”が社会関係資本であって、顔が見える付き合いの中で人は活かされ活きるとすると、社会関係資本の構築は、活き活きと働く、働き方と組織の未来を考える上でもヒントになるんじゃないかなぁと思います。

ゲストスピーカーからのストーリーテリングの後、参加者同士で感想をシェアし、その後のQAタイムでは

「加藤さん色々と活動されていますが、将来の夢はなんですか?」

「私、現在社会人MBAに在学中でして、周りに起業したいとか何かやりたいという人がいるんですが、結局何も始まらないケースも多いです。新しいことが始まると始まらないの差は何でしょうか?」

「現在、加藤さんはイキイキされていると感じたんですが、このような活動をするキッカケやターニングポイントがあったのでしょうか?」

「社外の活動をする上で、社内での見え方、意図的な見せ方で何か気を遣っていることがありますか?」

などの質問がでました。

加藤遼さんからは、

「将来の夢というのは特になくて(笑)、今が楽しければいいのではないかという考え方です。目の前の楽しいことを一生懸命楽しむという考え方です」

「頼られるが好きでして、頼られていると思い込んだら頼られたことに対して一生懸命、やる。あと自分頼ってきている意味があるとおもうので、その意味を聞くようにしている。そこに響いたらやるようにしている。断ることは少ないです」

「今の活動を始めたキッカケは仕事です。3年間人材派遣営業の後、事業企画部門に異動して、外にでて、色々な人と会い、自分で考える機会が発生したんですね。それですかね。」

「社内への見せ方は結構気を遣っています。基本的には企業理念と社外の活動の目指すところが同じなんだと伝えています。あと社内での新しい企画が立ち上がる時に、外で知り合った人となるべく一緒に立ち上げるようにしています。そうすると会社もそとに出て色々なコミュニティに属する意味があると理解してくれると感じています」

というお話をいただきました。


(質問にこたえる加藤遼さん)


(質問する参加者)

自らが参加してどのような働き方の未来を作りたいですか?
後半のワールドカフェでは「自分が参加してどのような働き方の未来を作りたいか?」をテーマに2ラウンドのダイアローグを行いました。


(ワールドカフェの様子)

全体でのシェアタイムにはでは、

「先ほどの加藤健太さんも言われていましたが、もっと個人を応援するサービスが増えてくれば働き方がかわってくるのではないかと感じました」

「働き方の未来のイメージで、好きを仕事にしていけばいいという話がでました。人の目を気にせず何かに没頭する。愛をもって没頭する時が、幸せを感じるのではないかと。何のために働くのかと言われると、やはり幸せのためですよね。愛をもって没頭するということがこれからの働き方のテーマなのかなと感じました」

「幸せっていう言葉はすごく不明確な話で、今、一番の問題は各自が自分の幸せが何かということを理解していない、理解するプロセスが何一つないということではないでしょうか。そこのプロセスをどうやってソリューションの中に落とし込んでいくかということが、たぶん幸せを実現していくし、企業研修や、教育の中のプロセスに入れていくかが大切なのではないかと思います」

「多様性というキーワードがでました。多様性を認める社会。多様性ってどれくらい認めるのか?何をもって多様なのか?色々な多様性があるなかで、どのような多様性をうけいれていくのか?ただ一方で会社としては、多様をどんどん排除していこうとしてるのではないでしょうか。イノベーションは多様性だと言いながら多様な人間を排除するという矛盾が一部ある。働き方を考える上で、みなさんも多様性について考えていただけるとよいかと思いました」

「普通の会社員でも手を広げるようにするためには、どうすればよいか。ということがポイントなのかという話が出ました。復興の現場に企業が出向させて、現地の行政・NPOで活動する。その人件費は復興庁が負担する仕組みがあるが、こういう制度を使うのも多様な経験をする、手をを広げるという意味でも一つの選択肢かと思います」

「働き方というのは、企業との関係性の見直しだけで変わるものではない。家庭というコミュニティの見直しが必要なのではないかという話がでました」


(全体へのシェアタイム)

会の最後に加藤健太さん、加藤遼さんからの一言ずついただきました。

「お疲れ様でした。色んな意見が聞けて面白かったのですが、個人的には、夢とか幸せの話がでるんですが、やっぱりこういう話って、どこで詰まるかというとお金でつまりますよね。選択肢を選ぶ時に、お金が・・とか。何が言いたいかというと、2つあって、1つはお金についてのリテラシーをきちんともつということ。それは僕が専業禁止でいっている、自分で商売しろってことと同じなんですよね。自分でけつまでふくというか、お金をもらうことの大変さを知るというか。もう一つは定義の話もでましたが、これは色々な考え方があると思いますので、やっちゃえばいいのではないかと思いました。ベースでお金の知識をもち、自分会社が倒産しないように、情熱を傾けトライアンドエラーをしてくことが、活きていくためにも必要かと。個人の働き方もそのあたりが備わっていくと、カラフルに変わっていくのかと思いました。今日はありがとうございました。」(加藤健太氏)

「お疲れ様でした。みなさまからパワーをいただいた気がしています。幸せの話がでてきていたので、その話をしたいと思います。幸せについての研究で、経済資本、社会関係資本、文化資本、の3つの資本がバランスよくとれている人は幸せな人が多いという研究結果がでているらしいんですね。129ヶ国の方に10年間以上調査した結果らしいんですけど。そんな話を聞いて、自分の活動に当てはめてみると、「この人のために何かしたいな」と思って行動したことが、振り返ってみるとその人の社会関係資本の構築に貢献していたり、文化資本の構築に貢献していたりとか、その両方の構築に貢献することでその人の経済資本があがるとか、そういった経験をちょくちょくする機会があって、これはもう少し今後も深めて考えてみようかなと思ったことを思い出しました。今日はありがとうございました」(加藤遼氏)

【イベントレポート】第1回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション

ゲスト:角川素久氏(Sansan㈱ 取締役CWO)/加藤たけし氏(㈱ループス・コミュニケーションズ コンサルタント)/塚本恭之氏(プロボノ・コンサルティング・ネットワーク ディレクター)

2013年8月19日に第1回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションを開催しました。

<イベントレポート(ゲストスピーカーの加藤たけし氏運営メディア「アットカフェ」より)>
http://atcafe-media.com/2013/08/29/workstyle_speaker/

<イベント概要>
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「未来の働き方は、どうなっているんだろうか?」 
「人と組織の関係性は、どう変化しているんだろうか?」 

 本イベントでは、本業外の活動(複業、プロボノ等)を行っている個人と、新しい働き方を推進している企業にゲストスピーカーとして登壇いただき、現在の活動とその価値についてお話しいただきます。そのことをきっかけとして「個人と企業とのエンゲージメントの未来」や「働きがい」について参加者同士でダイアローグを深めていく予定です(ワールドカフェ形式)。また本テーマに興味のある方々同士で新しいつながりが生まれる場になればと思っています。 

■日時 8/19(月)19:00~21:15(18:45開場) 

■場所 JICA地球ひろば(市ヶ谷)6階セミナーホール 
〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5 
・JR中央線・総武線「市ヶ谷」徒歩10分 
・東京メトロ有楽町線・都営地下鉄新宿線「市ヶ谷」A1番/4番出口徒歩10分 
・東京メトロ有楽町線・南北線「市ヶ谷」6番出口 徒歩8分 

■定員 70名(2回目の定員増!) 

■参加費 500円 

■ゲストスピーカー 
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角川 素久(つのかわ もとひさ)氏: 

Sansan株式会社 取締役CWO(Chief Workstyle Officer) 
[プロフィール] 
クラウド名刺管理サービスを手がけるSansan株式会社の創業メンバーで、ポジションは何でも屋。現在は人事・広報・ブランディング等を担当。会社のミッションに「働き方を革新する」を掲げているからには、自らの働き方も革新せねばということで、CWO(Chief WorkStyle Officer)として「新しい働き方」を推進中。2児の父。 
※Sansanは2010年に徳島県神山町の中山間地区に築70年の古民家を再利用したサテライトオフィス「神山ラボ」を開設。エンジニアをはじめマーケティング部、管理部の社員等延べ20名以上新しい働き方を実践中、地域活性化にも貢献している。 
・Sansan株式会社: http://www.sansan.com/ 
・神山ラボ: http://www.sansan.com/kamiyama/ 
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加藤 健(かとう たけし)氏: 

株式会社ループス・コミュニケーションズ コンサルタント 
日本最大規模の読書会コミュニティ “Reading-Lab”(通称リーラボ)発起人 
[プロフィール] 
ソーシャルメディアのビジネス活用コンサルティングを手がける株式会社ループス・コミュニケーションズ所属。「ひとりじゃできないこと、みんなでやる」をテーマに、NPO、ソーシャルリクルーティング、地域活性、ワークスタイルに関連する講演、執筆、コンサルティング等を本業以外に行なっている。 
・株式会社ループス・コミュニケーションズ: http://looops.net/ 
・Reading-Lab: http://careerzine.jp/article/detail/1386 (2010年記事) 
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塚本 恭之(つかもと やすゆき)氏: 

プロボノ・コンサルティング・ネットワーク ディレクター兼事務局/コンサルタント 
カシオ計算機株式会社 総務人事統轄部 
[プロフィール] 
本業である大手電機メーカーのロジスティクス、経営企画、子会社経営戦略室長、役員付事業担当 等を歴任する傍ら、2010年にプロボノ・コンサルティング・ネットワーク(プロボネット)参画。NPOのみならず中小・ベンチャー企業等幅広く無償コンサルティングを実施中。また2011年よりGPTW Institute JAPANのメンバーと共に社会人のための対話会「働きがいダイアローグ」の企画、ファシリテーションなども行う。 
・プロボノ・コンサルティング・ネットワーク: http://www.probonet.jp/ 
・カシオ計算機株式会社: http://casio.jp/ 
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■ファシリテーター 
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石川 貴志(いしかわ たかし): 
ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京) パートナー 
丸善CHIホールディングス株式会社 経営企画部 
[プロフィール] 
「働き方と組織の未来」ダイアローグ 発起人。IT企業、人材サービス企業の事業開発部門を経て現職。本業の傍ら、個人で年間10万円を出資してNPO・社会起業家の経営支援を行う組織であるSVP東京に参画しパートナーとして活動中。1児の父。 
・SVP東京: http://www.svptokyo.org/ 
・丸善CHIホールディングス株式会社: http://www.maruzen-chi.co.jp/ 
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